私は医師となって以来、東京の大学病院、民間の総合病院、精神科単科の病院、大企業の健康管理室、自身の診療所、特別養護老人ホームやサービス付き高齢者用住宅などの利用者の方の診察、公的機関の相談・審査業務、保険診療の支払い機関の審査員など、様々な場面で精神科医として診療や専門業務に当たってきました。
大学病院精神科では診療・教育・研究の常勤スタッフとして17年、自身の開業後も同じ大学病院に非常勤職員として10年働き、精神科の中の専門としては摂食障害、身体科入院治療に伴う精神症状・心理的困難に対する治療、不登校や引きこもりの心理的援助、精神科疾患や心理的問題に対する精神科医と臨床心理士とのチームによる薬物治療やマネージメントとカウンセリングの統合的治療、などを専門領域として働いてきました。
特に摂食障害の治療に関しては精神的に解決すべき課題や問題をカウンセリングの中で解決する根本的な心理的治療、身体状態が重篤となった患者さんの入院治療などを多数行い、今までに3000例を超える患者さんの治療に当たってきました。
このような経験と知識を生かし、精神的な疾患、症状や心理的な悩みを持つ方々、あるいはそのような方々をご家族や専門的な立場から援助する方たちのために、私が今まで得てきた専門的な知識と経験を提供できないかと考え、当オフィスを立ち上げることとしました。
私は精神科医となってから27年間は東京の関係機関で業務に当たってきましたが、2014年からは実家の都合で郷里の島根県松江市に帰り、診療を行っております。
特に専門性が高い「摂食障害」の患者さんやご家族の中には私の意見を聞きたいということで、遠方からこの島根にまでご足労いただく方もいらっしゃいました。
摂食障害に限らず、私の知識と経験を必要な方に提供できないかと考えていた時、新型コロナウイルス感染症の世界的な蔓延、いわゆる「コロナ禍」が起きました。
2020年以前には私は学会の仕事などでだいたい月に1、2回は東京に行っていましたが、学会や会議は全てオンラインでのものとなりました。
そこで今はこのような状況から、リモートによる相談を受けられないかと考え、以前から一緒に仕事をしてきた信頼できる心理士の方たちと精神疾患や心理的問題、さらには企業のメンタルヘルス、学校等教育現場での心理的支援などに関して相談できないかと思っています。
皆さんは当然ご存じと思いますが、医療における通常の診察、診療は、対面で医師と患者さんが会い、診察したり、検査をしたりして、診断を確定し、治療をします。
リモートによる相談の場合、当然このようなこと、特に身体的診察や検査が出来ないため、通常の診察は出来ず、また厚生労働省が規定する「オンライン診療」の条件も満たしません。ですからこのようなリモートによる相談は「医療行為」やいわゆる「カウンセリング」「心理療法」ではありません。あくまでも「相談」です。
ただ、実際にこの島根の地や心理士の方の元に出向くことが様々な理由で難しい方々に、私たちの持つ知識と経験を提供することは意味があると考えています。
このような試みが少しでも皆さんのお役に立てればと思っています。
とみさわクリニック院長
富澤 治
代表者
富澤治(とみさわクリニック院長、精神科医、医学博士)
略 歴
1987年 佐賀医科大学卒業。同年、東京医科大学病院神経科勤務 1996年 医学博士
2000年 東京医科大学病院神経科 講師
2004年 東京医科大学病院神経科 非常勤講師
同年、とみさわクリニック 開設
2005年 西新宿臨床心理オフィス開設
2014年 とみさわクリニックを島根県松江市に移転
主な著作
・『「治るうつ病」と「治らないうつ病」』
・『裏切りの身体ー「摂食障害」という出口ー』
・『葛藤する能力ー「言い訳のメンタルヘルス」を超えてー』
(いずれもエム・シー・ミューズ刊)
・『芸術療法(こころの科学セレクション)』
(飯森眞喜雄編、共著)(日本評論社)